塩尻未来会議

2017/11/20

「塩尻と厚真町から森林の未来を考える」を開催しました!

「塩尻未来会議」は、町の課題をみんなで考えて、課題解決への朝鮮を応援していくための場所。市民や企業、NPO、そして行政など、塩尻のさまざまな関係者のみなさんの対話の場となることを目指して、継続的に開催されていきます。

2017年5回目となる塩尻未来会議は、9月21日(木)、塩尻市大門一番町の公共施設「えんぱーく」で開催されました。開始は18時。すっかり秋らしくなり、夕方は少し肌寒く感じる季節になりました。今回は、ビジネスコミュニティデザイナーの但馬武さんと、北海道厚真町の方々をお迎えし、「森林のイノベーション」と題して、森林の在り方や、活用法などを討議しました。

今回の会議には、遠くは北海道の厚真町、塩尻市内、長野県内、都内などから集まってくれました。森林にかかわる仕事をしている人もそうでない人も、性別も年齢もさまざま。今日は、ゲストでもある但馬さんがファシリテーターとなって、「問題を解決するイノベーターを起こす方程式をみんなでつくろう」と、それぞれの人々が持つ知恵と知識と課題を掛け合わせて、森林の可能性を探っていきました。


チェックインの後は、まず但馬武さんのお話をうかがいました。但馬さんは5枚の名刺を持っているそうで、月1回20~100人の参加者と飲みながらあるテーマについて考える活動「home」という活動や、岡山県西粟倉村でローカルベンチャーを育成するエーゼロ株式会社など、地域の可能性を引き出す事業開発に携わっていて、地域資源を生かしてビジネスにした事例を紹介してくれました。例えば、徳島県上勝町の“葉っぱビジネス”は「森林×高齢者」の方程式。山にある葉っぱをビジネスにすることで、葉っぱを売るおばあちゃんたちにとっても地域にとっても、森林をきれに保てる素敵な仕組みでもあります。森林という地域資源を生かすために、森林と何かを掛け合わせれば、葉っぱビジネスのようなことがもっと生まれてくるのではないか、というのが但馬さんの問いかけです。

では、塩尻市ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。塩尻で木育を推進する商工会議所の海津健司さんと、塩尻市役所森林課の池田光宏さんからショートスピーチがありました。塩尻市では平成25年から事業として木育が推進されており、今年から「森のフェスティバル」も始まりました。平成27年からは、市内で生まれた赤ちゃんに県産材を使ったおもちゃを渡しています。また、市内の保育士さんには木育インストラクター養成講座を受けてもらっているそうです。塩尻には広い山林があり、山林の維持とその活用は、今後の大きな課題であり、可能性もまた大きいということがよくわかりました。

2人目のゲストである北海道厚真町林務職員の宮久史さんは「森林を良くするには、森林のことだけでなく、仕事をする人のコミュニティや住宅の確保なども必要」と考え、但馬さんとともに「ローカルベンチャースクール」を開始したり、森林を生かした町の活性化に取り組んでいます。森林といってもさまざまな樹種があり、林業には人工林の齢級構成の不均衡性、担い手の不足、所有と管理の問題などの多様な課題があります。厚真町は、「持続可能な木材生産と森林生態系の保全を両立させること+経済的な視点+地域住民が森林の豊かさを享受する」町となっていくために、いろいろな取り組みを行っていることを話してくださいました。

宮さんのお話からは、厚真町だけでなく、塩尻をはじめ、日本全国の森林・山林が抱える課題が浮き上がってきました。それは森林と離れて暮らす私たちにとっても、地続きの問題だと感じられました。森林とどのようにこれから一緒にいきていくのかという課題に対するアイデアや意見を出し合うために、今回は「フィッシュボウル」形式で対話を行いました。

「フィッシュボウル」とは、金魚鉢の中の魚たちとそれを外から眺めている人に見えるということで名づけられたワークショップの形式で、中にいる4人が対話し、他の人はそれを取り囲んで聞いています。そして、意見を言いたくなったら中の人と交代します。今回は、中の人の対話を聞いて思ったこと、考えたこと、かけ合わせたらおもしろいだろうなと思うことなどを、付箋に書いたらホワイトボードに貼っていきます。

森林の現状に対する質疑応答から始まり、徐々に会場から森林の専門家も加わり、森林と自然教育、子育て、料理、観光などと話は広がっていきました。また、人にとっての森の価値というような抽象性の高い話題にもつながり、方程式は私たちのこれからの生き方そのものの根本の部分にもつながっていくようでした。

議論はまだまだ深まりそうでしたが、時間切れとなり、グループに分かれてグループごとに、森林と何かを掛け合わせる方程式を出していき、最後に一人ひとりが森林に何ができるかを書いて輪になって発表しあいました。毎回、この時間は静かに過ぎるのですが、今回はいつも以上に静かで、まるでどこかの森に迷いこんで神聖なインディアンたちの会議に遭遇してしまったかのような不思議な感覚になりました。

今回の会議は、森林と森林を生かすイノベーションのあり方を考える貴重な機会でした。日本は国土の約7割が森林という、森の国です。この豊かな森を未来に向けて生かしていくことを、私たちももっともっと考えていくことが必要だと深く思った会議でした。

text: Misako Ito、photo:Masaki Ando、Misako Ito