塩尻未来会議

2017/10/3

2017年第2回目の塩尻未来会議のテーマは「家守舎に学ぶ」。木曽平沢の古民家を会場に、空き家の活用についてディスカッションしました。

塩尻未来会議」は、まちの課題をみんなで考えて、課題解決に挑戦したいという人たちを応援していくために、市民や企業、NPO、行政がともに対話をする場として継続的に開催されています。

2017年8月24日に開催した第2回の第塩尻未来会議は、中山道沿いにある木曽平沢の古民家「まるやま」にて、18時~21時まで開催されました。
江戸時代から木曽漆器のまちとして知られる木曽平沢でも人口減少と空き家の問題が浮上しており、今回は、このまちの空き家活用による地域再生の可能性を探ろうと、岡部友彦さ ん(コトラボ合同会社代表)と小田切俊彦さん(宮崎県日南市地域振興課非常勤特別職)を ゲストに、地元の方々、長野県内をはじめさまざまな地域から来た学生、飛び入り参加のカナダ人経済学者もいて、50人近くが集まりました。

18時に会場に集合し、木曽平沢に住む石井健郎さん(塩尻市職員でもあり、木曽平沢街並み保存会のメンバーでもある)の案内でまちを探索。「雁行」と呼ばれる軒が斜めに連なる家並みが特徴的で、2006年に重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
木曽平沢の家はうなぎの寝床のように、間口から奥に長く伸びているのが特徴のひとつですが、「麻太の家」で、その内部を見せていただきました。「麻太の家」は、かつて漆器工房兼住居だった空き家で、2014年から大西真さんらが借りて、若者のものづくりのベースキャンプとしています(詳しくは、塩尻耕人こちらをご覧ください)。傾斜地に建てられた「麻太の家」は、家の中に屋内と室内が交差し、ところどころで屋外に階段があるユニークなつくりでした。

「麻太の家」の内部。うなぎの寝床のように奥が深い。しかも家の中に段差があるのも魅力的(2点とも)

また、現在使ってくれる人を募集中だという大きな空き家も拝見。レストランになったらいいね、ゲストハウスになったらいいね……と妄想は広がりますが、でもどうやったら実現できるのだろう?と考えてしまいます。

空き家となっている大きな古民家 

 木曽平沢町並み保存会の拠点でもある古民家「まるやま」

そんなもやもやを抱えながら、「木曽平沢町並み保存会」の拠点でもある古民家「まるやま」に戻ると、地元の方々も続々と集まっていました。ゲストのお話に、あの大きな古民家を再生するヒントがあるでしょうか。

岡部友彦さん

ひとり目のゲスト、岡部友彦さんは神奈川県生まれで、神奈川県横浜市の寿町で、簡易宿泊所の空き部屋を利用して、バックパッカーの宿泊施設にした「ヨコハマホステルビレッジ」を皮切りに、愛媛県松山市三津浜地区で空き家になっていた旧個人医院を改装して販売や展示をするクリエイターの拠点にしたり、そのプロモーションを手がけたり、空き家調査やマッチング などの事業を行っているコトラボ合同会社の代表です。
興味深かったのは、建物を地域の資産として価値転換の方法と運営スキームです。例えば、 助成金を使わずにオーナーと売り上げを折半する仕組みにしたり、個人資産か公的資産かを問わず、管理・運営をコミュニティに委託し、発生した利益を地域コミュニティに還元する「コミュニティアセット」という考え方を取り入れるなど、地域の成り立ちと課題を汲み取りながら、自律的な持続性を確保できるようなスキー ムを柔軟につくりあげています。空き家の活用が全国的な課題となっている現在、こうした柔軟なスキームを後押しする行政も増えていくだろうと岡部さんは締めくくりました。

小田切俊彦さん

 続いての小田切俊彦さんのショートプレゼンテーションでは、宮崎県日南市飫肥(おび)地区の古民家をリノベーションし、宿泊施設やレストランとして活用する事例などを話をしてくれました。小田切さんは長崎県生まれで、東京に出た後、2017年に日南市に移住。市役所の一員として地域振興の仕事をするほか、全国の伝統的建築物群保存地区の活性化に携わっています。
日南市では、伝統的建築群は訪れる価値ある魅力的なものであるととらえると同時に、それらをたんに保存するのではなく、活用すること で結果的に保存していくことを目指しています。その際にキーワードとなるのが「体験」。小さなまちでは、観光資源はあっても、宿泊したり滞在したりする場所が不足しがちです。日南市も例外ではなく、まちの資源をストーリーのある体験 として提供して滞在してもらうために、宿泊施設を核に据えて地域とを連動する地域文化の始まりの場所と考えてリノベーションして、地域が持っている風習や風景の良さを残しながら再生し、地域活性に生かそうとしているそうです。

おふたりのお話は、スキームの作り方や資金繰り、プロセスづくりや人的資源の確保など、取り組む際に直面するさまざまな課題へのヒントにあふれていました。

3つのグループに分かれてディスカッション。外で話し合うグループも。

その後、岡部さん、小田切さんを囲んでさらに詳しい質疑応答をする2つのグループと、 その他の関心事を話し合うグループとに分かれて、近所の方が差し入れてくれた食材を楽しみながらディスカッションを行いました。おふたりにはかなり突っ込んだ質問が飛び交った 様子。夜が更けるまで熱心に話し込んでいました。

実際の古民家を見て、他地域の事例やその方法論までをじっくり話し合った今回の塩尻未来会議。空き家の課題は全国共通ですが、それぞれの地域の特性を生かした持続する仕組みに対する知識を深めたひと晩でした。

最後まで残った人たちで記念撮影

 (text : SJ、photo:望月葉子)