塩尻未来会議オンライン

2020/6/15

好きを入り口に、失敗を恐れず挑戦できるコミュニティへ。特任CxO 8回連続企画 塩尻未来会議オンラインvol.2 ゲストの濱本隆太さんと『これからの公共を共に創るオンラインコミュニティ』についてディスカッションしました!

塩尻未来会議」は、塩尻市の未来を、市民と市役所が一緒に描いていく対話プロジェクト。市民や企業、NPO、そして行政など、塩尻のさまざまな関係者のみなさんの対話の場となることを目指して、継続的に開催されています。

塩尻未来会議オンラインは、塩尻市で8月から始まる関係人口創出・拡大事業「MEGURUプロジェクト」に先駆け、外部から講師をお呼びして8回連続で開催します。2回目となる今回のイベントは、6月14日(日)オンラインにて開催されました。塩尻市地方創生推進課の山田崇さん、塩尻市特任CCOであり株式会社ガイアックス 社長室兼コミュニティディレクターの千葉憲子さんが進行を務め、ゲストの、塩尻市特任CIO(Chief Innovation Officer)を務めるパナソニック株式会社くらしアップデート推進本部の濱本隆太さんと一緒に「これからの公共を共に創るオンラインコミュニティ」を考えました。


濱本隆太(はまもと・りゅうた)さん
2011年岡山大学卒業。同年パナソニック株式会社入社後、法人向けソリューション営業担当を務める。現在は、くらしアップデート推進本部でスタートアップ協業、新規事業開発を担当。社内起業家育成プログラムGame Changer Catapultや若手の官民政策提言活動「ELPIS」などの有志活動に携わる。また、学生と社会人との対談の場を作る「がくしゃか」の運営メンバーとしても活動し、数多くのイベントを主催している。

 

「関係人口創出・拡大事業」のモデル事業として採択された塩尻市。この事業は、オンラインコミュニティや副業を通じて関係人口プラットフォームを構築し、地域外のプロフェッショナル人材と地域のシビックイノベーターが、協働で地域の課題解決に取り組むものです。今回は、その目玉でもある、オンラインコミュニティのあり方について濱本さんと一緒に考えました。

 

濱本さんは、パナソニック株式会社で主に新規事業開発を担当。社外でも、大企業中堅・若手有志団体ONE JAPANで社内起業家育成プログラムを主導するほか、経済産業省主導の若手官民政策提言活動「ELPIS」のメンバー、学生×社会人座談会「がくしゃか」の発起人、プライベートではDJやフォトグラファーなど、さまざまな活動をされています。

 

濱本さん「僕は基本的には、人生はフェスだと思っています。世界のフェスや日本の伝統的な祭りを巡ったり、DJとして大規模なイベントを開く中で、人の感動体験をいかに作るかに関心を持って取り組んできました。そこで得た知見を元に、さまざまな新しいプロジェクトやイベントを立ち上げています」

 

山田さんと濱本さんの2人は、お互いを「山ちゃん」「濱ちゃん」と呼び合うほどの仲良し。改めて濱本さんの自己紹介を聞き、山田さんは「意外と知らないことがあった」と活動の多様さに驚いていました。

 

外部人材活用の重要性

 

塩尻市が取り組む「MEGURUプロジェクト」は、外部のプロフェッショナル人材と市民が一緒に地域の課題解決に取り組むもの。この取り組みは、参画するプロフェッショナル人材と塩尻市、双方にとってどんな意義があるのでしょうか?

 

山田さん「たとえば濱ちゃんが何かに取り組もうとしても、企業の中だとできないことがあると思う。それが、塩尻市だとできるんじゃないか、と考えています。

 

塩尻市では2020年1月から3月まで、『ハイクラス副業』でプロフェッショナル人材に協力してもらったことがありました。内部で組織を動かそうと思うとなかなか動かないこともありますが、外部の人に言ってもらうことで、組織自体も動きやすくなるんです。

 

言う場所と言う人が変わるだけで実現できることって変わるんだなと感じたので、企業の中でやれないことをぜひ塩尻市でやってみてほしいと考えています」

濱本さん「すごくわかりますね。僕も、社内で物事を動かすときに大事にしていることが3つあります。

 

一つは「集合力」。ただの濱本隆太が何かをやりたいと言っても聞いてもらえないので、人を集め、100人の意見なので聞いてください、と上司に掛け合ったことがあります。数を集めて、事業を回す上でのキーパーソンが無視できない状況を作り出すんです。

 

二つは黒船力。いま山ちゃんが言ったみたいに、重要な会議に外部のプロフェッショナル人材を呼んで話してもらう。すると、経営陣の意識も大きく変わるんですよね。

 

三つ目は斜め力。自分の事業とは直接関係のない立場の人からサポートしてもらうんです。すると、物事が進みやすくなると感じています」

 

これに対して、千葉憲子さんから「塩尻でやろうとしていることは、黒船力に近いのでは?」と質問が。

 

山田さん「たしかに黒船力なんだけど、黒船みたいな圧倒的なものではなくて。まずは漫画『キングダム』で言うところの「伍」(5人の歩兵を1組として行動する制度のこと)を作るイメージですね。その最初のメンバーが、特任CXOのみなさんだと思っています。

 

公務員じゃない、いろいろな職業の人のバリエーションのある伍をたくさん作っていって、黒船力プラス集合力で、塩尻市から国を動かしていきたいですね」

 

課題感ではなく、「好き」が入り口

 

塩尻の最初の伍のメンバーとして、一緒に課題解決に取り組んで行く特任CXOのみなさん。その一人である濱本さんとは、今後どんな取り組みをしていくのでしょうか?

 

山田さん「濱ちゃんと一緒に作りたいのは、これからの公共を共に創るコミュニティ。実は昔、濱ちゃんに、『オンラインコミュニティ、やりなよ』って言われたことがあるんです。それから毎週金曜の朝7時から、オンラインで『山田ラジオ』を放送しています。ノーイシュー・ノーアジェンダで、その時感じていること、考えていることを話していくのですが、今でも10人くらいがずっと参加してくれているんですよね。

 

これって、塩尻から離れたところに住んでいても、地域に関わり続けられるという証明になっていると思うんです。狙ってやっていたことではないけど、いまでは新しいコミュニティなんだ、と感じています。これをどうしていくか、大きくできるか。これを濱ちゃんと一緒にやりたいと思っています」

実は濱本さんも、塩尻市とはなんの関わりもないところからのスタート。しかし塩尻市を訪れ、山田さんはじめ塩尻市の人々と知り合いになっていくうち、関わるようになった一人だと言います。

 

濱本さん「僕は、山田さんが伊藤羊一さんと「1分で話せ!」をテーマにしたイベント「Talk Your Will in shiojiri」を塩尻市でやっていたのを、地元の岡山でもやりたくて、そのきっかけをつくるために初めて塩尻に行きました。腹黒かったんですよね(笑)。特に塩尻市の地方創生や複業に興味があるわけでも、そもそも塩尻市自体をそんなに詳しく知っているわけでもなかった。

 

でもそこで山ちゃんと知り合って、塩尻を好きになって、山ちゃんと何かやりたいなって考えるようになったんです。塩尻のことを教えてもらったり、スーパーイノベーター沼田尚志さんが主催していた塩尻のツアーに参加したりして、いろいろな良いところを知ったから、気がついたら何度も足を運ぶようになっていました。

 

まずは、なんか塩尻が好きだ、と感じられることが大事だと思いますね。課題感から入ると足が遠のいてしまうことが多いですから。なんとなく好きだと思って足を運んでいると、地域の方々と触れる機会からその地域の課題が少し見えてきて、解決方法を考えたくなってくる。そんなリアルで起きていたことを、オンラインでもやっていければと思います」

 

そんなご自身の体験も踏まえ、話は「コミュニティをつくる上で大事なこと」に移っていきました。

 

失敗にこそ価値がある

 

濱本さんは、自分でも約20のオンラインコミュニティを管理するほか、さらに100近いオンラインコミュニティに所属していると言います。たくさんのコミュニティに所属していると、良い点、悪い点が見えてくるのだとか。

 

濱本さん「うまくいっているコミュニティでは、主催者のフォローアップが手厚いんです。きちんとしたフォローアップがあると、コミュニティに入った後、メンバーがファンになってくれるんですね。ファンになったら、主催者のために何かしてあげたいと自然に思うようになります。ファンの人が増えていって、積極的にコミュニケーションをとるようになると、コミュニティとしてうまくいくと感じています」

 

最後に、コミュニティを作っていくにあたって塩尻はどんな場所なのか、について議論しました。

 

山田さん「塩尻は、初めてのことを一緒に悩みながらできる場所だと思います。はじめから何かを提供しようと来ていただくよりは、初めてのことに挑戦できるプラットフォームにしたい。

 

地域課題に、これをやればうまくいきます、という正解はないんですよね。だから、濱ちゃんみたいに能力のある人と、一緒に悩みながら新しいことやっていきましょうと言えるのがいいと思っています。塩尻でやったことは、他の地域にも展開していけます。お互いがお互いの領域を超えた接点をつくりながら、プロジェクトが終了する6ヶ月後に、周りに言えるようなものが一つつくれるといいなと思いますね」

濱本さん「塩尻は、トライアルを重ねられる場所ですよね。僕は、失敗事例の方が大事だと思っているんですよ。人はみんな、成功事例を知りたがるじゃないですか。でも、成功事例を再現できることってほとんどなくて。成功事例からは、どんなに多くても2、3%しか学べないんです。

 

結果的に、失敗事例をたくさん知っている方が、成功に近づけるんですよね。塩尻での取り組みは、『ここが難しかった』『これができなかった』ということもみんなで共有していくことに価値があると思います」

公然と「いちゃつける」、楽しく挑戦できるコミュニティへ

 

あっという間にイベントは終盤へ。参加者からの質疑応答のコーナーでは、山田さんがトーク中に濱本さんと2人で話す様子を「いちゃつく」と例えたことを受け、「2人のようないちゃつける関係の数が増えることが、良いコミュニティなのではないかと思った」という意見が出ました。

 

濱本さんに対し、「塩尻と他の地域との違いは?」という質問も。濱本さんは、山田さんの存在が大きいとした上で「塩尻がチャレンジできる地域であること」をあげ、「いずれ自分の故郷である岡山にも横展開したい」と話しました。自分ごと化できることも、地域と関わる上で大切な要素のようです。

 

さらに、「どういう状態のコミュニティが理想的か?」という問いが。これに対して、二人は次のように返答しました。

 

山田さん「期間を決めることが大事だと思っています。コミュニティを続けていくのってかなり大変なことだと思うんです。時には休みたくもなります。だから期間を決めてあげることで、最後まで頑張りきることができるんじゃないかなと思います。今回は6ヶ月と決めているので、そこをピークにして走りきれることを目指します」

 

濱本さん「最近、うさぎと亀の競争の話を考えるのですが、最強なのは足の速いうさぎがバトンリレーすることだと思うんです。コミュニティにおいても、走れるうさぎが複数集まっているのが最強ですね。山ちゃんの言ったように、期間を決めるなどして、次のうさぎがどんどん出てこられるようなコミュニティが理想だと考えています」

 

最後に、参加者全員で記念撮影。失敗を恐れず新しいチャレンジができること、公然といちゃつけること、「好き」を入り口にすること…。改めて、塩尻でつくっていきたいオンラインコミュニティがどんなものなのか、感じられた会でした。